Samsoon Typhoon

世の中は、チョコレートとオリンピックの話題で持ちきりだ。この1週間、基礎英語のスキットまで「誰にトリュフを作ってあげたか」などという内容だった。私には無縁と言えればいいが、食べたくなるから困る。

ところで、最終回からずいぶんと経つが、韓国ドラマ「私の名前はキム・サムスン」は本当に楽しかった。「冬ソナ」より、ずーっと面白かった。1月中ごろだったが、昼寝から起きて、たまたまテレビをつけたら、放送していた。尊敬するI先生が、このドラマをお好きだと以前に伺った記憶があり、迷わず見ることにした。見始めると、面白くて、歯医者に行く以外は毎日見ていた。ちょうど昼寝から起きるころに放送が始まるから、目をさますには内容も、タイミングもよい番組だった。

このドラマ、私が見始めたのは多分5、6話くらいからで、最初はどういう展開だったのかを知らないでいた。見ていればだいたいのことはわかるが、ネットであらすじを検索してみたところ、なんと、まぁ、多くの人がこのドラマのレビューを書いている。これにはちょっと驚いた。ネットって、いろんな世界が繰り広げられているんだぁと、それにも感心した(いまさら何を言うか)。

ブログには、面白いものがいくつかあった。ドラマを再現しながら、ブログを書いている人の個人的見解がはさんであって、それが絶妙でうまい。読ませてくれるのである。ドラマの面白さが倍増するほどの楽しいレビューになっている。読んでいて、笑ったり、感心したりした。あらすじを追いながら、ドラマ以上に想像をかきたてられるものもあった。

プロの漫画家の方が書いている「サムソン日記」というブログもあった。それを読むと、もっとドラマをじっくり見るべきだったと思った。たとえば、ジノン様の横顔が「芸術的」なのは、「黒目」にポイントがあるらしい(観察するところが違う)。わかめスープは韓国では誕生日に必須のもので、愛情を伝えるものだそうだ。こういった文化を知らないと、「なんで誕生日にわかめスープ?」と、わからないままだった。

私には、あのドラマでグサッっとくる一言があった。「私もお姉さんのように健康になりたいです。なんでも食べられるようになりたいです」というヒジンさんのセリフだ。記憶に頼っているので、正確ないいまわしではないが、このようなことを言ったのである。彼女は進行がんを克服した病後の人だけれど、私はこのセリフを聞いて「あー、いやだ、いやだ」と、思った。なぜならば、私自身が言いそうなことだからだ。いや、多分事あるごとに言っているか、言わないまでも思っているからだ。「あなたは健康だから、いいですよ」みたいなことを言ったり、思ったりする被害者意識、弱者意識がある。「なんだかんだ言っても私のほうが大変ですよ」などと思っている。ヒジンさんとは容姿は雲泥の差だが(当たり前)、言っていることが同じで、「あー、なんて嫌な人」と思った。投影性同一視か?

それから、私の問題ではないけれど、「いつも3人でいるようで嫌だ」という主人公サムスンさんのセリフも記憶に残った。別れた恋人をアメリカまで送るというわけのわからない、元恋人の要求を受けたジノン=サムシクに、サムスンが言った一言だ。これは故ダイアナ元皇太子妃の言葉そのままだろう。サムシクが誤った判断をしていたら、またサムスンという女性が筋を通す性格でなければ、あの世紀の三角関係と同じ状態に、サムスンもおかれていたということなのか。ドラマにしても、そんなところリアリティがあって、ちょっとスリリングだった。元英国王室ウォッチャー(?)としては聴き捨てならないセリフだった。

ドラマを放送していたころ、私は仕事で、あれこれあって精神的に落ち込んでいた。しかし、このドラマでサムスンが言いたい放題(暴言含めて)、まっすぐに生きているのを見て、スカっとした。ジノン様のカッコよさ(横顔もいいが、歩く姿がよい)にも、目の保養をさせてもらった。あっという間に終わってしまい、台風のように去って行ったドラマだった。

余計なことだけれど、ドラマの前後に主人公二人の(撮影から5年たっている)実物がナビゲーターで出ていたが、あれはよかったのかどうか。あまりにも別人になっていた(視聴者って、勝手なことを言うものだ)。

*訂正
「サムソン日記」は、正しくは「サムスン日記」です。お詫びして訂正します。