ありえない話/ありそうな話~韓国ドラマを観て思うこと

今日の記事は韓国ドラマに関心のない方にはスルーを推奨します。いつも以上に中身のない内容をながーく書いてます。

去年の1月からこの3月まで、私は約17本の韓国ドラマ(いずれも連ドラ)を観た。韓ドラに詳しい人は、日本には山のようにいて、韓ドラについての蘊蓄を楽しく語りながら、論評する優れものブログも多い。そういう意味では、私は観てきたドラマの本数も、韓国ドラマへの知識もないが、この1年間で観た17本の韓ドラで「私のベスト1」と言えるドラマと出会えた。それが『恋愛マニュアル~まだ結婚したい女』なのである。けれど、このドラマ、韓国では視聴率ひとケタで、散々な評判だったそうだ。悪評のひとつは「ありえない設定」だったことにあるらしい。日本の韓ドラファンのブログをのぞいてみても、そのような感想はあった(私の知る限りでのこと)。

その「ありえない設定」としてやり玉に挙がったひとつが、登場人物の職業について。主人公女性3人はそれぞれテレビ局報道部記者、同時通訳、レストランコンサルタントという知的、花形職業だ。加えて、彼女たちと恋愛模様を繰り広げる男性陣は天才人気ミュージシャン、国際線パイロット、医師ときたので、なおさら「ありえない」「できすぎている」という評判になったらしい。しかし、これはありえない設定なのだろうか。これら職業の人々はきわめて近い関係であり、いつでも出会えそうな気がする。

記者は人気ミュージシャンと職場であるテレビ局ですれ違うし、同時通訳は医師と国際会議で出会う。パイロットと報道部記者は大学の同級生だ。職場と大学なんて、きわめて自然な、どちらかというと、狭い世界での出会いであって、「ありえない設定」どころか、よく聞く、いかにもありそうな話に思える。そんなことで評判を落としたとしたら(それだけではないとしても)、あまりにこの作品がかわいそうな気がする。

韓国ドラマにはもっとありえない話がぞろぞろ出てくるではないか。たとえば3月まで放送していた『クリスマスに雪は降るの?』(テレビ東京)なんて、「そんなのありー?」の連続だった。

『クリスマスに~』の主人公の男女は幼いころから相思相愛なのだが、例のごとくあれこれ因縁があって、2人の恋愛にはあまりにも障害が多いのである。その大本は女性側の父親と男性側の母親との関係だ(相関図なしにこの話をするのはしんどい)。この親同士は若いころ恋愛関係にあったのに、出自の違いから結婚できなかった。しかし、男性の母親は思いを断ち切れずにいた。父親もどうもそんな気配である。それを知っている女性の母親(つまり彼の妻)は嫉妬に苦しみ続けている。それぞれの子どもたちが成長し独立し故郷を離れると、父親は不治の病を宣告され、男性側の母親と突然駆け落ちし、その直後に亡くなってしまう。残された彼の妻は、夫の死のショックから家を燃やし自殺を図る。一命をとりとめるが、記憶喪失となる(これってまったく韓国ドラマだ!)。記憶喪失となった母親はすでに亡くなっている溺愛していた自分の息子と娘の愛する男性を混同し、彼を息子と思いこむ。

これから先が驚きの展開だ。なんとその男性、彼女の息子になりきり、結婚を誓った女性の母親であるこの人と同居し、何かと甲斐甲斐しく面倒をみて、愛する女性とは兄妹の関係として生きるのである。

この男性の不可解な行動の理由はひとつ。自分の母親が犯した罪への償いなのだが、私は思わずテレビに向かって尋ねてみたくなった。「これって記憶喪失を治療している医者はどういう意見なの?」。これこそあまりにありえない設定、まったくもって非現実的な話ではないのだろうか。

それなのに、なぜかこのドラマのほうが、私の好きな『恋愛マニュアル』よりずっと視聴率がよかった、というのだから、やはり韓ドラに期待するのは、ドロドロ因縁の世界なのかなあ、と短絡的に思った私である。というか、私はなんでこんなに熱くなっているのだろうか。