甲のひと、乙のひと

『逆転の女王』(韓国、MBC制作。フジテレビ放映中)は理屈ぽ~いセリフが楽しいドラマだ。このドラマにはまったきっかけは「甲乙」宣言場面である。

主人公ファン・テヒはリストラ寸前の夫の酒席に助け舟として登場。飲めない夫の代わりに飲めないお酒を飲んで、管を巻き、夫の上司にあびせるセリフが痛快だ。

ハングルのリズムのせいなのか、セリフが素晴らしい、と思う。ちょっと違うけれど、ある種歌舞伎を彷彿とさせる。そのセリフ回しは私の稚拙な言語では表現できない。

言っていることはこんなことだ。人には甲と乙がいる。生まれつきのセレブで、年下のくせに、目上の部下の首をバシバシ切れるのが甲。そんな上司から辞めろ、と言われれば、そうするしかないのが乙の人々(かなり大雑把な要約)。

確かに人生そういう面がある。上下関係でなくとも、生まれた星が違うよなあとか、生きている世界が違うわ、と思いながら、遠慮しながら、顔色うかがいながら、付き合わねばならない人がいる。

わざわざ言うほどのことでもないけれど、私はもちろん「乙のおばさん」(セリフに出てくる)だ。乙にだって、存在意味があり、価値があることに変わりはない、と思いたい。

ガンガン啖呵を切る乙代表ファン・テヒ(キム・ナムジュさん)と、それを唖然とも、戸惑いともしながら、でも、どこかで「へんなおばさん」に関心を持ち始める、甲代表の青年上司(パク・シフ氏)の表情が魅力的な場面でもあり、みていて惚れ惚れする(このドラマはキム・ナムジュさんに惚れ惚れするが、回を重ねるごとにパク・シフ氏にも惚れ惚れするかもしれないので、要注意)。

韓国の人って、日本人が失ったスピリットを持っている気がする。ちなみに、甲と乙は英語字幕では、alpha, betaと、訳してあった。