緊張がとけて。

12日から時間が止まった感じだ。昨日は緊張がとけていつの間にか寝ていた。被害にあわれた方、避難所にいる方には申し訳ないがこちらは断水も停電も家の破損もなかった。家の周りも倒木もない。おととしの台風では前の家の桜の木が真ん中からぼきっと折れた。あんな光景この目で初めてみた。

3,4日前からテレビ、ラジオから「命を守れ」と言われていた。「命を守れ」とはほんとうはどういうことなのだろう。母の命なんか守れていたのかとか思ったりする。

自分の命は自分で守れと言われても、だった。それを聴き続けていて、確かに私は一緒に身を護る家族がいないから、自分だけを自分でなんとかしなくてはと思い、せっせとできる範囲で「防災」「減災」していた。

そして当日を迎えた。午後あたりからエリアメールが入ってきた。多摩川の水位が避難指示レベルになり、20時8分の最後のメールでは警戒レベル5になった。でも、私が住んでいる場所は、避難指示対象地域からは外れていたから、避難しなくていいんだな、と思う。

でも、ほんとうに避難しないでいいのか、という気持ちがもたげてきた。多摩川が下にどんどん氾濫したり、東京湾がどうにかなったり、呑川が氾濫したら、どうなんだ、とか思って、用意してある入院パック(独身者はたいていしていると思うけど、入院用にリュックに必要なものとある程度の現金など詰めてある)に食料と水と懐中電灯を入れて避難所でも少しは過ごしやすいと思われるような服に着替える。

9時ごろ風雨がピークだった。ベランダが壊れるかと思った。本を読むけど雨風の音で集中できないのと、なにしろ気が気じゃない。10時過ぎたころ「ぱたっ」と風の音がやんだ。

エリアメールもこなくなった。寝ることにした。が、何度も目が覚めてもちろん熟睡できない。

13日は緊張が解けたのと、気圧の変動とで、ぐったりして、ほとんど寝ていた。ラグビーの試合をかけっぱなしで寝てしまった。夜中目が覚めた。シャワーを浴びて寝間着に着替えて熟睡した。今日の朝を迎えた。

午後からでかけてみた。図書館と買い物。友達がひとり電話をくれた。私のこと気にかけてくれる人がこの世にいるんだな、と思った。

さっきまで図書館で借りたばかりのこの本を読んでいた。読み終わってしまった。今年のノーベル賞受賞者の初期の作品。母を自殺で亡くした半自伝作だ。
幸せではないが、もういい (『新しいドイツの文学』シリーズ)
幸せではないが、もういい (『新しいドイツの文学』シリーズ)

『幸せではないが、もういい』。私のこころの言葉みたいなタイトル。